WRAPについて.2
こんにちは!
心の元気回復についての考察でお役に立てればいいな、と想うココロです。
このページではWRAPの実践についてまとめている第二部のページです。 第一部は 「回復目録Ⅰ」 にまとめています。よければお読みいただけると嬉しいです。
全体の後半部分に実践のテンプレートのような項目、その前に実践に繋がる情報を記録させていただいています。 漢字の使用に関しては一般的に使用しない漢字を使用している場合もあります。これは 「その意味」 も含めてお伝えしたいので敢えてその表現にしています。
WRAPとは精神疾患を患ってしまった方たちが 「一生苦しまないといけない」 という固定概念を見事にはねのけ、辛い日々の中から元気に回復していく過程からメアリー・エレン・コープランド氏が共通因子を見出し、ツールとして考えだされた元気回復プログラムに近いものだと捉えています。
コープランド氏の信念は精神的な困難を経験する人達も元気になることが可能であり前向きに生きていくために簡単で安全な役に立つ方法がいくつもある、というものです。 コープランド氏が行ってきた調査と情報はその信念と理解の基に成り立っています。
主な4つのキーワード
- ・ 自発性
- ・ 主体性
- ・ 自己価値
- ・ リカバリー
という項目がキーワードになります。 これらは 「普遍的に多くの人にとっても活用できる」 と考えていますので、このまとめで心の元気回復に少しでもお役に立てれば幸いです。
※ 本ページはプロモーションを
含んでいます
私なりに結論だと考えるポイントは以下の9点です。
1. 自分を信じる
2. 自分自身を具体的に知る
3. 元気になる理由を見つける
4. 発信する情報を変えていく
5. 心から納得したことをする
6. 仲間を5人みつけていく
7. プランの優先順位を高くする
8. 幸せへの責任を取り戻す
9. 誰でも人生の主人公
自発性・主体性をベースとして 「元気になるために取り組むこと」 をプランとして実行していきます。 WRAPについての詳細は第一部の 「回復目録Ⅰ」 でまとめていますのでここでは少しだけ触れさせていただきます。
頭文字に込められた意味
- W ellness
- R ecovery
- A ction
- P lan
頭文字をとってWRAP。
WRAPとはメアリー・エレン・コープランド氏を中心に精神障害のある人たちによって考えられたリカバリー(心身の衰弱状態からの元気回復)のためのツールです。
メアリー・エレン・コープランド氏のお母さまは重篤なうつ病をご経験され、またコープランド氏自身も双極性障害と診断されて重く辛い症状を抱えていました。 そんな中でもコープランド氏は自分自身をコントロールをしていく努力の過程とお母さまの回復過程から多くのことを学びました。重い精神障害を抱えながら回復して元気に生活している多くの人が 「どのように回復したのか?」 「どうやってそれを継続しているのか?」 を調べました。
調べていくうちに例え病気を患っていても元気に回復して充実した人生を歩んでいる人たちの回復への過程の中に共通点を見出しました。 その情報を基に作られたツールがWRAPです。
自らの人生の主導権を握り充実した地域生活を送ること、生きがいをもって生きること、何かに没頭でき、自身の才能を他者に活かして貢献できること、すなわち広義の意味でリカバリーです。
第一部の内容と重複はしているのですけども、例えば患者と医師、生徒と教師、部下と上司、子供と親。 誤解を恐れずに述べるとすれば立場によって生じる力関係によって弱い立場の人達が主体性と自己価値を自ら放棄していく、また、せざるを得なかったとしても、立場の弱い人が自らの人生のエキスパートとして自分自身の知恵や工夫などを通して健やかさ ―― 生き生きとした人生 ―― を保っていく方向へと回復しながら歩んでいくためのツールです。
世界で唯一、
自分自身のことを100%理解できるのは自分だけだと考えています。
過去の傷も涙もその理由でさえも100%知っているのは自分だけ。
であるから自分自身こそ無二の親友である、と思います。
この要素は精神疾患を持ってない方に対しても有効ではないかと推測しています。
5つの重要な姿勢と価値感
- 1. 希望
- 2. 自分に責任を持つこと
- 3. 学ぶこと
- 4. 自分の権利を擁護すること
- 5. サポートを得ること
希望
精神的な困難、または心の苦しい経験をしている人も元気になることはできる。 元気であり続けることができる。 当たり前のように人生の夢やゴールに向かって進むこともできる。 このようなことが希望です。苦しい心の目前にあるリカバリーへの扉。その扉を開けるキーとなるのが希望です。
- ・ 元気になれる
- ・ 目標に向かって前進できる
- ・ 目標などを必ず達成できる
- ・ 将来は明るいという信念
- ・ リカバリーを信じること
これらの実現に希望は欠かせない大きな要素です。 そもそも 「なんの選択肢もない」 と思い込んで(思い込まされて)しまうと、どんな方法論を並べても意味はありません。 原動力が枯渇しているのですから。
車で言えばガソリン。太陽の光で例えるなら水素原子4個の質量より0.7%ほど軽いヘリウム原子1個が、核融合によって原子1個になる際に失われた質量をエネルギーに変換して生み出すエネルギー。A 、B、C、D、E、…どのルートに進んでも最悪の結果となる、と理解した時に人は絶望と共にそのエネルギーそのものを失くしてしまうのではないでしょうか。
物理学的に必要である正確な演算でないことは承知の上で、相対性理論では質量1gに対して莫大なエネルギーがあるとされています。例え停止した状態の1gの質量でもそれがすべてエネルギーに変換されると一般家庭の約69,400戸分の1年間の消費電力に等しくなる計算だと言われています。
私たちは1g以上の質量を保持しています。50kgの体重だとすると1gの5万倍。約34億7千万戸分の1年間の消費電力に等しくなるエネルギーです。命あり 「在る」 ということ。どれほどの力があるのでしょうか。選択肢なんていくらでも作れそうなエネルギーです。
自分に責任を持つこと
自分のことを一番よく知っているのは自分自身です。いわば自分のエキスパートであり最良のパートナー。 何を必要としていて何を望んでいるかは他人から指示されたり与えられたりするものではなく、それを知っているのは自分自身。元気になるためには何を必要としていて、心は何を望んでいるのか。一番よく知っているのは自分自身。であるからこそ、はっきりとは見つけられないかもしれない。素直になることが怖かったり。
それでもそれらを知ることを自分の責任として、自分自身の生き方への主導権を取り戻していく取り組みに努めます。 そうしていくことで元気であり続け、少しずつ幸せを感じることができるような時間に繋がっていきます。 日々の何気ない生活への充実感などを感じるために意識を変換します。
時に必要な場面でサポートを得ることは自然なことで誰でも支え合いながら生きていると思います。 ただ、いつも人に助けを求めてしまうと、その人と離れてしまった場合などにおいて回復が難しくなってしまいます。自らで自分自身を癒すことができ、身の周りの環境をも自分にとって満足のいくような環境に作り変えていくという姿勢はリカバリーを大きく推進させる要因となります。そんな前向きな気持ちはきっとリカバリーを応援してくれると思います。
また症状の発生や心の落ち込みなどによって様々な役割や責任を担うことを本人も周囲の人も諦めている場合が多いかもしれません。しかしそうして 「主体性」 や 「自発性」 などが失われると他人や環境にふりまわされる傀儡となってしまいかねません。
周りにふりまわされて本来の目的であるはずの ――「自分自身も幸せになる」 ―― その目的と逆の方向に進む必要など一切ありません。 小さなことでいいから1つずつできるところから取り戻していく。その過程が自信に繋がり、リカバリーへと融合していきます。
学ぶこと
リカバリーの道のり(過程・プロセス)に学びが伴っていると人生の色々な問題や事柄などについてよりよい判断ができるようになります。自分自身のことについて経験したこと、経験していること、生き方や暮らし方、職業、人間関係、自由に使える時間の使い方、または治療に関して学んでいくことで、それらのことに対しての適切な意思決定ができるようになります。
例えば処理速度が重くなったスマホの設定を調べたい時に検索キーワードで 「スマホ 軽くする 設定」 とキーワードを入力するよりも 「スマホ SC-〇〇 開発者向けオプション 軽くする 設定」 といった感じで具体的に検索キーワードを入れたほうが自分の知りたいことによりマッチした情報に出逢いやすくなります。
これは本質的な意味で自分自身のことについても同じことが当てはまると言えそうで、自分自身について知れば知るほど学べば学ぶほど自分から発信する情報も変化します。そうすると周りから得られる情報もおのずと変化していき、疾患的な問題であれば医療・保健・福祉専門従事者の方々と協議することによって役に立つ資源(サービス等)の情報を入手できたり価値のある教育的なワークショップやセミナー情報を知ることができたりします。あるいはそれらの情報を理解するために手助けをしてくれることもあるでしょう。
また、一般的な事柄であれば友人や知人からの情報も変化しますし、自分の困っている内容がより具体的であるとコンタクトする人脈もサービス内容もおのずと変化するはずです。この自分自身を知るということはすなわち周りに対して正確な情報を発信できるということです。
抽象的な例えですけど市役所に行く必要があって相談したい内容を構成している要素にAという情報、Bという情報、Cという情報を総合して 「住民票を移したい」 だとします。 「A+B+C=住民票を移したい」 → 実際に市役所にいって必要なものを揃えてAとBとCの先にある 「住民票を移したいので手続きをしてください」 と伝えれば、おそらく問題なく可能でしょう。
しかしその時の事情面として医師の診断の基、一時的な療養のため1年以内には元の住所に戻る見込みであり、さらには定期的に実家にも帰りたいので生活の拠点は異動したくない状態だったとします。
「A or B or C」 のいくつかの情報を発信しない(またはできなかった)とすると、このケースなどでは住民票を移さなくてもよかった手続きをすることになります。
もし、
Aという情報=
医師の診断の基、一時的な療養のため1年以内には元の住所に戻る見込みであった。
or
Bという情報=
定期的に実家にも帰りたいので生活の拠点は異動したくない状態であった。
Cという情報=
その他の事情面。
というケースでは住民票を移さなくてもよいとのことで 事前にこの 「A or B or C」 などの情報を正確に発信できていればわざわざ市役所に行かなくても済みます。
行政に関する手続きは正確に行ったほうがいいので無駄ではありませんけど、上のケースですと 「転出届」 を提出し 「転出証明書」 も発行する必要はあるので少なからず時間と労力は必要となります。自分のことを知り、例外的な情報などを学んでおくと様々な負担を減らせることもあるでしょう。 ご興味があれば 「住民票を移さなくてもよいケース」 などで検索なさってみてください。
自分の権利を擁護すること
- ・ 自分を信じること
- ・ 自分の権利を知ること
- ・ 尊重される様に主張すること
- ・ ゴールを設定すること
- ・ そのために努力すること
上のようなことを通して効果的に自分のために権利擁護することは勇気や粘り強さ、決意を持って
「手に入れること」
(取り戻すこと)
を意味します。
自分のために必要なものを手に入れるためには、はっきりと落ち着いて主張することが肝要です。
はっきりと落ち着いている状態は 「自分自身に対しても毅然である」 と考えます。
自らに信頼があるからこそ毅然となれるはずです。
それは相手にも正確さを以って伝わって本質的に 「宣言」 に相当するでしょう。
大切な自分のことを信じてあげてその権利を尊重されるように主張する。 ゴールや目標、それらに対しての努力も周囲の人達へ宣言する。 そして自分自身にも。 選挙などの大きなプロジェクトの際には宣言は必須です。 その公約を守る(達成する)かしないかで 「信頼度」 は変わります。有言実行をするのかどうか?ですね。
絶対に守らないといけないというものでもなく、心の重荷にもならない自分自身への公約。 大きなことを宣言する必要なんてないと思います。大きいか小さいなどは程度の差。ただのレベルの違いで色が濃いか薄いか、ただそれだけのことでしょう。 大きなプロジェクトも小さなプロジェクトもその本質は同じものです。
自分のことを信じてあげて所有する権利を尊重されるよう効果的に主張し、ゴールや目標に対する努力や取り組みなどの小さな宣言を少しずつ達成していく。その時できなかったら次の機会にできればそれでいいと思います。
「しなければならない」
「するべきだ」
もしそんな義務感や焦燥感に襲われたとしたら大切な自分自身のゴールや目標は 「義務」 でもないということ、例え仮にその時できなかったとしても自分を責める必要などはないということを認めてあげてほしいと思います。
その方向にさえ進んでいればいつかは辿り着けるはずで、小さなことをたくさん達成して自分に対する有言実行を積み重ねていけばそれでいいと思います。 そんな旅路の中で大切な自分のための権利を宣言しながら、できればちょっとがんばれば達成できるゴールや目標設定で、
「心から納得すること」
「達成した時などに心から嬉しいと思うこと」
を設定するとより効果的です。
本心では首を横にふっていることを達成したとしても、そこにあまり意味はないでしょう…。
サポートを得ること
- 1. サポートをしてもらうこと
- 2. また人をサポートすること
この上の相互関係は元気になって生活の質を向上させるために必要な条件です。
「人を癒し、また自分をも癒す」
「自分を癒し、また人をも癒す」
「one for all」
「all for one」
相対的な意味でこれらのことに近い要素を強く感じます。 全国に広まりつつあるピアサポート。ピアとは英語で peer。年齢・地位・能力などが同等の者、同僚、同輩 「仲間」 を意味します。 同じ問題や環境を体験する人たちが年齢や地位、能力などの垣根を越えて対等な仲間として相互関係の中で支え合うことをピアサポートといいます。
「心を元気にしたい」
その意志をもつ人全員がいわば、
peer (仲間)でしょう。
そのピアサポートが全国的に広まっているという事実はリカバリーに向かって努力していく上でピアサポートがいかに重要か、を証明している事象であると言えます。
元気になりたい人を1人の人として1人ひとりを尊重する。 リカバリーに基づいたそんな姿勢をもつ環境において、サポートは松葉杖ではなく人から命令されて行うものでもありません。 1人の人として尊重しているからこそ
「その人の責任」 や 「自主性」、
「自発性」 をサポートしたい
という姿勢なのではないでしょうか。 その仲間同士の相互サポートをお互いの関係において正しく且つ効果的に活用することで、より充実した豊かな人になることのプロセスとなります。
サポートはお互いが成長して変化していこうという気持ちが重なり合う時に最大限の力を発揮すると言われており、必要な時、また何かに臨んだ時に仲間としての良いサポーターが5人いると大きな力になるそうです。
なんでも相談できる友人。
心を元気にしたいと取り組んでいる人。
価値観の合う人。
困った時には助けてくれて、主体性に欠けそうな時は仲間として指摘してくれる人。
お互いに支え合い助け合うことができる、そんな仲間。
戦後の時代には助け合うことが当たり前だったから、もしかしたら自然とそういった 「仲間」 ができていたのかもしれません。
―― 「(心も)豊かになろう」 ――
あの頃の目標や目的は普遍的で素敵な一体感だったんじゃないかな…、と推測しています。 これは昨今の日本社会では少し難しいかもしれません。 しかし学び知って自分から発信する情報を変えていくことで繋がる人や情報もガラリと変わると経験から断言できます。 「心を元気にしたい」 その意志をもつ人全員がいわば
peer (仲間)。
そのツールの1つがWRAP。
意識を向ける方向だけでも変えてみると新しい情報に出逢えると信じています。
実践前の準備としての特徴
WRAPの特徴は、
- 元気になることを
助けてくれる - 元気の継続を
助けてくれる - 不快な気分や
行動を把握できる - プラスの行動プランを
作成できる - 安全でいるための
準備ができる
といった5点の特徴があります。 この特徴をより活かしていくためにはそもそもの心の元気が必要な場合がほとんどだと考えます。
「そんな気力すらない…」
とても気分が優れない状況で、自分自身で物事を決めることが困難な場合やそんな気力すらない心の状態に陥ってしまうこともあるかもしれません。 そんな時は他の人(サポーター的な人)に
「そんな時はどうしてほしいのか」
「何をしてほしいのか」
などを予め伝えておくことで自分自身が安全でいられるようにします。 未来の自分への救済マニュアルを作っておくことかもしれません。 自分自身が自分のエキスパート。 そんな専門家の用意するマニュアルはもしもの際に何よりの力になってくれます。
WRAP構成の
7つの要素
1、元気に役立つ道具箱
これは元気であるために、 あるいは気分の優れない時にこれまで行ってきた元気になるためのリストやこうしたら元気になれたかもしれない、 ということを書きとめてリスト化したものです。 自分専用のWRAPを作る最初のステップであり書きとめてリスト化した内容を 「道具(ツール)」 として自分専用のWRAPを作っていきます。
スマホでいえばセキュリティ関係のアプリ、そしてバックアップ。PCでいえばウイルスバスター、システムの復元ポイントの作成。車でいえば自動操縦システムとエアバックに例えることができるかもしれません。
いくつかの例として、
- ・ 音楽を聴く
- ・ カラオケに行く
- ・ 調子を崩す前に頓服をのむ
- ・ 人に話を聴いてもらう
- ・ 友達に会う
など、自分の元気に繋がることならなんでも構わないので少しでも元気になれることをメモとしてリスト化しながら書きとめておきます。 その日、その日の
「自分にとって元気が回復された時はどんなことをした時なのか?」
などを書いていくうちに自分の 「特性」 みたいなものも発見されるでしょう。 「どんな時に」 「どんな状況で」 「どうして元気になれたのか?」 「書いている時にどんな感情を感じたのか?」 などを詳しく書くと、より効果的だと考えられます。最初からわからなくても試みながら記録していく経験を重ねるうちに共通点を発見できて、
- エッセンスのみを
抽出したもの - 普遍的で本質的な
部分の発見 - 要素の共通した
simpleなもの
になっていくと思います。
それを楽しみながら日々の中で実践していって自分の心の元気にとってより鋭く効果的で専門的なツールを成長させていきます。
2、日常生活管理プラン
上の項目で書きだしたリストを忘れずに毎日やることが重要なステップとなります。 心の元気を充電のように少しずつ蓄やしていくようなイメージです。 それを 「日常管理プラン」 としてマネージメントしていきましょう、というものです。
例えば、
- 最初にいい感じの時の自分は
どんな人かを示すリストを作る - (例)
- ・ 明るくて優しい
- ・ 友達が多い
- ・ 社交的
- ・ 聡明である
- ・ など
- その次に取り組みたいことを
書きとめておく - (例)
- ・ もっと自分を好きになる
- ・ 自分のいいところを探す
- ・ 就職してみる
- ・ 新しい技術を学ぶ
- ・ など
- 次に元気であるために毎日
したいことのリストを作る - (例)
- ・ リズムの整った生活をしたい
- ・ 友達とみんなで話をする
- ・ 好きなことを楽しむ
- ・ 趣味で楽しい時間をすごす
- ・ など
- 時々やると良いことの
リストを作る - (例)
- ・ 1週間に1度は温泉にいく
- ・ 手紙を書いてみる
- ・ 自分にご褒美をあげる
- ・ 小旅行に行ってみる
- ・ など
といったように元気を回復させたり維持していくためにやりたいことへと意識を向けて、 「それに合わせてその日なにをするのか」 を決めていきます。 当然ながら日々の中での優先順位は必須項目を高く設定する必要はあるでしょう。 しかし心の元気回復のためであるならば、日常管理プランの優先順位を高く設定したとしてもなんら問題はないはずです。 元気になることがなによりも大切なことです。
元気になれる項目が日々かわるかもしれません。それでもいいので探していきます。目的は 「原動力である心の元気の回復」 ですから。日々の中で様々なタスクが舞い込んできます。
「それは本当に自分のするべきことなのか?」
「ほかの人に任せたほうが全体として効率的ではないか?」
といったように心の元気を取り戻すリカバリー項目への優先順位を高く設定するといいでしょう。 付加価値として調子が優れなくなってしまった際などに何をしたら元気であったかを思い出せることにも役立ちます。
3、引き金
引き金とはその時のきっかけのことで、もしそれが起きると気分が優れなくなったりあるいは調子を乱してしまう原因になってしまうような出来事や状況を指します。 それらの情報をリストとして書きとめていくことで引き金となる出来事が起こった時に前兆となる可能性に気づくことができます。
またはそんな状況に陥ってしまった時に 「どうリカバリーをしたらいいか」 のプランを立てておくことによって、さらに調子を乱してしまうことを防ぐことができます。
- 最初に調子を崩すきっかけに
なるかもしれないことの
リストを作る - (例)
- ・ 睡眠不足の時
- ・ 人混み
- ・ 対人関係のストレスの種類
- ・ その時おこった出来事
- ・ など
- 次にこうすれば
乗り切れるだろう
と思うことのリストを作る - (例)
- ・ 睡眠を充分にとる
- ・ 何としてでも休む
- ・ 誰かに相談する
- ・ その場から離れる
- ・ など
4、注意サイン
注意サインとは自分の内側で起こっていることを示し、外部からのストレスとは関連なく起こることもあります。 心を護るための信号と言っても問題なく、何かの行動をしたほうがよいことを示唆する変化の兆候のことです。
- 最初に自分自身で
気づいている注意の
サインリストを作る - (例)
- ・ 胃が痛くなる
- ・ 朝すっきりと起きられない
- ・ 悪口を言われていると感じる
- ・ 音に悪意があると感じる
- ・ など
- 次に、気分が改善されるまで
毎日したいことのリストを作る - (例)
- ・ ゆっくり寝る
- ・ 甘いものを食べる
- ・ 不調である ”今” を意識する
- ・ 合理的に考える
- ・ など
5、調子が優れない兆しの時
できうることの限りを尽くし、最大限の努力にも拘わらず調子がとても悪くなってしまい且つ深刻で危険ですらある状態にまで進んでしまうこともあるかもしれません。 しかしそんな時でも
「大切な自分のために」
選択肢を選ぶ行動をとる
こともできます。
このポイントがとても重要なタイミングで、クライシス(自分1人では対処しきれない状況)を未然に防ぐためにすぐに行動をする必要があります。
- まず、調子の悪いときの気分や
その時にする行動の
傾向リストを作る - (例)
- ・ 嫌なことが頭から離れない
- ・ 眠いのに眠れない。眠くない
- ・ イライラして怒鳴ってしまう
- ・ 悪いことばかり考えてしまう
- ・ 心中のそれらを人に話せない
- そうなった時に毎日することの
行動プランを書く - (例)
- ・ いつもの生活パターンを守る
- ・ 主治医や専門家に相談する
- ・ とにかく人に聴いてもらう
- ・ 日常管理リストの項目を行う
- (この行動プランは
選択の余地があまりなく、
明確で指示的な行動である
必要があります)
6、クライシスプラン
クライシスとは自分のケアを他者に委ねなければならず、自分1人では対処しきれないような緊急の場合や状況を指します。 最近ではクライシスに陥っても自分の意思をもって判断していくという考えに変わってきているものの、 このプランでは自分の調子が悪くなってしまった時に 「どのようなことをしてもらいたいのかなどの指示」 を周囲の人に指し示すものです。 クライシスプランには9つのパーツがありますのでこれらを人に渡しておき、その人たちが必要な時に使うものです。
パーツ-1
いい感じの時の自分について
これは日常生活管理プランのいい感じの時の自分と同じものでも問題ありません。
- (例)
- ・ 明るく優しい
- ・ 友達が多い
- ・ 社交的
- ・ 聡明である
- ・ など
パーツ-2
クライシス前兆のサイン
誰かに自分の責任を任せなければならない時のサインです。
- (例)
- ・ しゃべらなくなる
- ・ 物事を被害妄想的にとらえる
- ・ 物音に悪意を感じたり怯える
- ・ など
パーツ-3
誰に責任を任せたいのか
誰に責任を任せたいのか、任せたくない人は誰なのか、を書きとめておきます。 主に責任を任せたい人を 最低5名 リストに書いておく必要があります。 友達や家族、医療、保健、福祉関係者などの方々でも構いません。 その場合はその方々に今回のサポーターのリストに加えて記述してもよいのか確認しておきます。(この情報も書き記すことが大切です) 自分のケア(サポート)に加わってほしくない人の名前とその理由も書いておくと尚よいかもしれません。
- 任せたい人
- (例)
- 1. ◎◎さん
- 2. 〇〇さん
- 3. △△さん
- 4. ◇◇さん
- 5. □□さん
- 任せたくない人
- (例)
- 1. ~~さん
- 2. @@さん
- 3. ××さん
- ―理由―
- ・ 見下す
- ・ 冷たい
- ・ 話を聴かない
- ・ など
パーツ-4
医療関係者と薬の情報
この情報も記録しリスト化しておくことは特に大切です。 周りの方がサポートをしてくれる際、より最適なサポートを行いやすくなります。
- (例)
- ・ かかりつけの医師や主治医
- ・ その方のお名前と連絡先
- ・ 健康保険証のある場所など
- ・ アレルギーについて
- ・ 服薬しているお薬の名称
- ・ 処方内容と理由
- ・ 頓服薬が必要なタイミング
- ・ その際に希望する薬と理由
- ・ 服薬を避ける薬とその理由
- ・ など
パーツ-5
受ける治療の種類について
治療に関係する情報を書きとめてリストにします。
- (例)
- ・ 受けても良い治療
- ・ 受けたくない治療
- ・ 役に立った代替的な治療
- ・ 役に立たなかった治療
- ・ その理由
- ・ など
パーツ-6
入院が最善ではない場合
入院が最善でない場合がよくあります。 そのためにリストを作成しておきます。
- (例)
- ・ 自宅で受けれる支援
- ・ 地域で受けれる支援
- ・ 必要を満たす地域の資源
- ・ サービス、サポート内容
- ・ 施設名
- ・ 連絡先
- ・ 担当者
- ・ など
パーツ-7
入院が必要な場合
もし入院が避けられそうもなく、必要になった場合に備えるために情報を書きとめてリストにしておきます。
- (例)
- ・ 入院しても良い病院
- ・ 入院したくない病院
- ・ なぜその病院がいいのか
- ・ なぜその病院は嫌なのか
- ・ 入院しても良い病院の名称
- ・ 連絡先
- ・ 住所
- ・ など
パーツ-8
人にしてもらうこと
人がしてくれると役に立つことや人がすると余計に気分が悪くなることなどについてリストにします。
- (例)
- ・ 人から話しかけてほしい
- ・ 家族に話しかけてほしい
- ・ 心から傾聴してほしい
- ・ 不安があるか訊いてほしい
- ・ 冷たくあしらわれると傷つく
- ・ など
パーツ-9
クライシス回避時のサイン
クライシスプランに従わなくても良くなったことを示すサインをリスト化します。 自分自身の回復を示す前兆のサインです。
- (例)
- ・ よくしゃべるようになった
- ・ 冗談やジョークがでる
- ・ 妄想を妄想だと認識できる
- ・ 身の周りのことができる
- ・ 合理的に考えることができる
- ・ など
7、クライシス回避時プラン
クライシスを脱した後のプランは回復していくことに伴って絶えず変化するという点でWRAPの他の項目とは異なっています。 クライシスの状況を抜け出した後の癒しの時期はとても重要です。その2週間後くらいは1週間後と比べてはるかに調子はよくなっているでしょうから日常の活動も違ってきているはずです。すぐにもとの生活に戻りたいと思うかもしれません。
しかし、もしかしたら再び調子を崩してしまうかもしれない可能性に備えて、予めこの癒しの時期のことについて考えておくことは回復を順調に進ませていく上で有益です。以下のことを考えながら準備しておくといいでしょう。
クライシス回避時プランの実行
・ クライシス回避時の記録
・ その時期のサポーターは誰か
・ 入院した場合、退院後の行先
・ 誰がそこに同伴してくれるか
・ 誰に一緒にいてほしいか
・ などを記録しておく。
対処することで回復が進む事柄
・ 帰宅時にすぐにするべきこと
・ 誰かに依頼できること
・ 自分のために毎日したいこと
・ 避けたほうがいい事柄や人達
・ 元気に役立つ道具箱を使う
・ 元気回復行動プランの変更点
・ クライシスから学んだこと
・ などを記録したり対処する。
責任を取り戻すための予定表
・ 仕事
・ 子供の世話
・ 食料品の買い物
・ などの責任を明らかにする
・ 兄弟
・ パートナー
・ 友人など
・ 誰がそれをしてくれたか確認
・ それらをする必要性を記録。
また、クライシスを回避してから初めは週に1度だけ仕事へ行ったりして様子を見ながら2週目は2日、3週目は3日、 といったように少しずつ行えるプランを作って責任を取り戻していくと、より回復を順調に進ませていくでしょう。
7つの要素のまとめ
1. 元気に役立つ道具箱を作る
2. 日常生活管理プランを立てる
3. 自分への引き金を知る
4. 注意サインに気づく
5. 調子の悪いサインに気づく
6. クライシスプランを立てる
7. クライシス回避時のプラン
以上でWRAPは完成とされます。
WRAPは元気であり続ける日常生活のガイドブックとして、あるいは引き金に気づいた時の回避手段として、またストレスなどによって感じた扱いにくい気分に対応するために活用することができます。
もしかしたら心の元気の回復はリカバリーしていくことそのものなのかもしれません。このWRAPを作るには時間も労力も必要です。 初めから完璧なWRAPを作る必要もなく、その過程やプロセスがリカバリーとなります。
書きとめることがセーブポイントの作成、バックアップみたいなシステムでしょう。 その情報を再利用する時、新たな癒しやリカバリーが生まれてより本質を抽出できるWRAPが作りあげられていくのだと思います。
ひとまず10行くらいでもいいので書いてみて、毎日よみかえしながら日常生活管理プランに沿って行動してみるといいそうです。 そのうちプランの内容を覚えるので時々みればよくなります。 追加したい情報や変更したい項目も発見できます。新しい方法を見つけたり元気になれたこととその理由、その時に感じた気持ち、役に立つ情報、またそうでないことも記録することで情報の密度が高くなります。
このWRAPは1度できたら完成というものではなく、しばらくのあいだ実行してみて必要があれば次のプランを書き足していったり手直しをしながら変化していくものです。おすすめは付箋紙に書いてA4の白紙に貼り付けていくことです。これなら順番の入れ替えや追加も楽に行えるので、ある程度まとまったら清書するかパソコンを使って印刷すると綺麗に作れます。ExcelやWordが得意な方ならExcelでリストにすると効率的です。
補足
日本においてWRAPに対する認知は広く知れ渡っているとは言えません。しかしながら近年のアメリカでは急速に広がってきているそうです。ミネソタ州で行われたある評価研究では1年間の間に41サイクルのWRAPを実施し、そのプログラムの参加者329名へのアンケートを行いました。 その98.7%(325名)が希望をより感じるようになったと回答し、94.5%(311名)の参加者が他の人にもWRAPを勧めたいと回答しました。 ただWRAPの知識や技術の習得が実際に参加者の生活に、
「どのような変化をもたらしたのか?」
「参加者1人1人にとってリカバリーを実際に促進させるものであったのか?」
といった検証はできておらず、WRAPの有効性を科学的に検証する作業は始まったばかりです。
検証は必要であるとしても、プログラム参加者の90%以上の方から得た回答結果はWRAPを作成していく過程のリカバリーにとって重要とされる知識・情報・技術・態度・希望の感覚といったものに肯定的に作用すると示唆していると言えます。
情報ソース元となるメアリー・エレン・コープランド氏によるWRAPの公式ウェブサイト
『メンタルヘルスのリカバリーとWRAP』
「wrap WELLNESS RECOVERY ACTION PLAN Renewing Your Wellness Your Way」
https://mentalhealthrecovery.com/
を記載させていただきます。
ページを翻訳すれば日本語で読むことができます。体験談や 「ウェルネスツールの例」 などの情報も記載してくださっているのでよければご参考になさってみてください。
最後に
WRAPは認知行動療法とやっていることは近いのですけど取り組み方が違います。 認知行動療法は主に自分の避けたいことをどう避けたらいいかを考えますがWRAPはもっと元気になるにはどうしたらいいか?を考えていきます。
なりたい自分になるように自分の望むことを達成するために作るのがWRAPです。この本質的な部分はビジネスなどで成功したいプロジェクトや達成したい事柄などにも当てはめて活用できることでしょう。
見方が変わると行動が変わります。 行動が変わると得るものが変わり、得るものが変わると…ますます見方が変わっていく。最初と最後のこのサイクル。 見方を変えるためにも自分自身のことを知っていく…。 WRAPの本質の中には 「自分を知ること」 も含まれていると思います。
誤解を招いてしまうかもしれないことは承知の上で、過去の自分も未来の自分もある意味で 「別人」 だと考えています。 細胞は日々作り変えられていますし、新しい成長の過程にいます。 せわしなく続く日々の中ではそんな 「今」 の大切な情報を忘れてしまうこともよくあって。 だからエキスパートである自分自身が未来の自分へのマニュアル、指南書、指示書みたいなものを作ってあげる優しさのようなことだと思います。 そうしてできたマニュアルは世界でたった1つのもの。 だけど共通点は他の人にも力となれるかもしれない情報の集まり。
唯一無二の親友のこと。
語弊があるとしても 「2人のわからない人」 。
自分自身が癒される人であって癒す人。
近すぎてわからないのかもしれない。だから紙などに鏡の役割を担ってもらって自分を書いて知っていく。
時には問診、時には心のケア。
ご自身の経験から得た情報を統計として集めて帰納的に考えていくことで、よりシンプルなたった1つの本質を発見できていくと信じています。 そうして書きとめていく大切な情報は後世の人達の大きな支えとなることもあるかもしれません。 そんな素敵なプロジェクトの主人公だと考えると嬉しくなったりしませんか?
WRAPの第二部として実践編などを記録しました。 この考察とまとめで少しでも元気回復へのきっかけとなれば幸いです。
全ての人がよりもっと生き生きと生きていける社会でありますように。
とあるココロの回復目録Ⅱでした
参考・参照:
社会福祉法人 巣立ち会
平成20年度
障害者保健福祉推進事業
障害者自立支援
調査研究プロジェクト

